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 景気悪化に飲み込まれる税制改正


事務所便りです。様々な角度からの情報を載せておりますので、是非ご覧ください。
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なお、この事務所便りの内容につきましては、質問等受け付けておりません。

景気悪化に飲み込まれた税制改正

 税金はその国の機軸であり、税制はその時代の趨勢を表すものとすれば、その決定に至る過程には大いに興味のあるところです。

 09年は新政権移行後初めての税制改正作業でしたが、具体的な改正事項よりも納税環境の整備をまず定義付けたことに従来の政権との違いを感じさせました。

 その基本理念には、納税者の立場を強調し「公平・透明・納得」の大原則が据えられました。@納税者憲章の必要性、A国税不服審判所の改革、B社会保障・税共通の番号制度の導入、C歳入庁の設置、D罰則の適正化、などがその具体的項目です。

 ではその基本理念に基づき、平成22年度の改正案はどうであったのか、法人税関係について触れてみましょう。

 1)グループ「企業内取引」・「資本取引」にかかる税制の新設

 旧来100%子会社であっても、独立する法人格を有することから親子関係会社間の取引は、税務上おおむね第三者取引を基準に取引の正当性が求められていますが、実務上の妥当性の判定については、税務当局の税務調査等において度々論議を巻き起こしているところです。今回の改正(案)は、「企業間取引」においては「資産の移転」「寄付金」「配当金」を、「資本取引」においては「自己株」「抱合株」を譲渡益課税の繰延や益金損金不算入とするなど、所得調整への直接的な改正や源泉徴収の不実施が見込まれています。課税の繰延・免除により資金の移動の容易さを誘導する事となり、資金に余裕のある法人にとっては有効でしょう。

 2)特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度の廃止

 本案は、民主党が野党時代に参議院で廃止決議がなされましたが、衆議院により否決されたものだったため、今回廃止になるであろう事は予想されました。中小企業経営者にとっても、個人事業主との不均衡是正のためといっても、納得するのは難しい制度であったことは事実で、現在適用対象となっている企業からはおおむね歓迎されるでしょう。しかし23年度改正にはこれに替わる制度を導入予定なので要注意です。

 実質的に法人税法の改正は前述の2点といって良いのですが、議論が活発だったのは「租税特別措置法」の見直しです。

 そもそも租税特別措置法とは、「特定の政策目的の為の経済活動を誘導するためのものであり、一定の成果が測定できたらその役目は終えるべき」、「本来時限立法であるはずが一部の業界の既得権益のために自動延長されている」といったことにあります。

 同法には、特に中小企業者において馴染みの深い特別償却などの制度も含まれていますが、冒頭の「公平・透明・納得」の考えからは乖離しているので見直すべきだといわれていました。

 今後、「租税透明化法(仮称)」を制定し措置法の適用実態を明らかにする模様であり、今回は制度自体はほぼ維持されましたが、以後自動延長は原則しないものと考えたほうが良いでしょう。

 平成22年度の法人税の改正案はその基本理念からすると物足りず、枝葉の改正の感は否めません。理念はあっても財源不足により抜本改正に移れないということであれば、この状況はここ数年は続くでしょう。経済活動を刺激し活性化する妙薬はあるのか、今後も注視していきたいものです。

記事提供者:アタックス 岡田 昌樹

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